注)ただの同人作品です。難しい事は考えずに気軽にお楽しみ下さい。
第1話〜3話はこちら
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妻夫本聡士が勤めるbj薬局。
ある日、調剤薬局では一番忙しい時間帯である11時頃、1人の女性が処方箋を持ってやって来た。

事務 「処方箋お預かりします。」

仲村里依紗 「これ、お願い。それと、私急いでるから。」

事務 「あっ、はい…。では、こちらの問診票のご記入をお願いします。」

仲村里依紗 「ったく、めんどくさいわねぇ。はい、書いたわよ。ちょっと急いでくれる?」

事務 「はい。でも、順番でやっておりますので。もう少々お待ちください。」

〜15分後〜
仲村里依紗 「ねぇ?まだぁ?もう15分も待ってるんだけど…。」

事務 「ただいま確認してまいります。」

事務 「妻夫本さ〜ん、あの患者さん、まだかって、怖いんですけど…。お薬まだかかりますか?」

妻夫本聡士 「もうすぐ出せるよ。今行くね。」

事務 「お願いしま〜す。」

妻夫本聡士 「仲村里依紗さん、大変お待たせいたしました。」

仲村里依紗 「遅いんだけど。薬出すだけで、なんでこんなに時間がかかるのよ!」

妻夫本聡士 「申し訳ありません。今1番忙しい時間帯で…。」

仲村里依紗 「いいから、さっさと薬を渡しなさいよ。で、いくら?」

妻夫本聡士 「ですから、」

仲村里依紗 「だから、いくらなのよ!」

妻夫本聡士 「仲村さん、この問診票に記入された市販薬なのですが…。」

仲村里依紗 「5000円ね!ここ置いとくから。ったく、さっさと、薬だけ渡せばいいのよ。どうして、病院で薬をもらえないのかしらね!」
仲村里依紗は、そう言ってお金を乱暴に置き、薬を奪うように去っていった。

事務 「なんなんですかね、あの人。」

妻夫本聡士 「困ったね。あっ、あの人の連絡先って書いてあったよね?」

事務 「え?まぁ、問診票に書いてくれましたけど。妻夫本さんってああいうキツイ人がタイプなんですか?」

妻夫本聡士 「いやいや、違うよ。ちょっと気になることがあってさ…。」
妻夫本聡士 「…。でないね。留守電に入れておけばいいか…。bj薬局の妻夫本と申します。仲村様の携帯電話にお電話しております。本日…。」
妻夫本聡士 「ちょっと心配だな…。」

1週間後
仲村里依紗 「ちょっと!この前の薬剤師いる?あの、背の高い男の薬剤師!」

事務 「つ、妻夫本さーん。この前の…。」

妻夫本聡士 「あっ、仲村さん。」

仲村里依紗 「私、あんたのせいで胃潰瘍になりかけたのよ!どうしてくれんのよ!」

妻夫本聡士 「すみません、おっしゃっていることが…。」

仲村里依紗 「だから、この前あんたが出した痛み止めのせいで、胃潰瘍になりかけたのよ!そのせいで、今日は仕事休まなきゃいけなくなったんだから。」

妻夫本聡士 「ひょっとして、この前お渡しした、ボルタレンが原因ですか?」

仲村里依紗 「医者にはそう言われたわよ。あんた、そんなこと一言も言ってなかったじゃない!」

妻夫本聡士 「仲村さん、そうおっしゃいますが、あの時お話できなかったじゃないですか。」

仲村里依紗 「知らないわよ。それでも大事な事は伝えるのが仕事なんじゃないの?」

妻夫本聡士 「えぇ。私もそう思います。そう思って、仲村さんの携帯電話の留守番電話にお薬で気をつけて欲しい事をいれたのですが、その様子ですと聞かれなかったみたいですね。」

仲村里依紗 「え?留守電?忙しくてそれどころじゃなかったのよ。」

妻夫本聡士 「仲村さん、ところで、いつもお忙しくされていますけど、今日はお時間平気ですか?」

仲村里依紗 「今日は仕事休みよ。こうなっちゃったんだからしょうがないじゃない。」

妻夫本聡士 「でしたら、今日はじっくりお話させていただけませんか?ちゃんと説明させてください。」

仲村里依紗 「え?今日なら良いわよ。あんたの言い分聞こうじゃないの。」

妻夫本聡士 「それでは、こちらにおかけください。」

妻夫本聡士 「先日、仲村さんが御持ち頂いた処方箋は3枚ありました。
1枚目は、齋藤耳鼻科からの処方箋
2枚目は、永禄病院の消化器内科からの処方箋
3枚目は、菅原歯科からの処方箋
耳鼻科からは、花粉症の薬が処方されていました。
ディレグラが30日分とひどい時にプレドニンが14回分
消化器内科からは、ボルタレン25mgが1日3回14日分
歯科からは、セフゾンが1日3回7日分
そして、市販の便秘薬。
これらの薬は、1つでは問題はないのですけど、合わさると問題が出てくるんです。
それに、仲村さんが書いた問診票なのですが、市販で便秘薬と胃薬を飲んでいると書かれています。便秘薬は何を飲んでいるのですか?」

仲村里依紗 「コーラックと、1日3回飲んで便を柔らかくするって言われて買ったやつよ。これよ。」

妻夫本聡士 「こちらですか・・・。マグネシウムの薬ですね。それと、市販の胃薬は何をお飲みですか?」

仲村里依紗 「これ。太田胃散よ・・・。何?バカにしてるの?おばあちゃんが勧めてくれた薬で、すっごい効くのよ!」

妻夫本聡士 「えぇ、太田胃散はすごく良い薬です。」

仲村里依紗 「それで、結局何が言いたいのよ。」

妻夫本聡士 「仲村さんの胃痛の原因はボルタレンです。ボルタレンは痛み止めとしては非常に効果が高いのですが、そのかわり副作用もあります。その1つが、胃を荒らしてしまう事です。ボルタレンは胃壁を薄くしてしまい、連用すると胃潰瘍を起こす可能性があります。普通、そうならないように胃薬と一緒に処方されるのですが・・・。」

仲村里依紗「胃薬?断ったわよ。当然でしょ?だって、私太田胃散飲んでるから、いらないじゃない。」

妻夫本聡士「そうでしたか。ちなみに、このボルタレン、何日のみましたか?」

仲村里依紗「1日3回処方通りに毎日飲んだわよ。悪いの?」

妻夫本聡士「なるほど。わかりました。では、歯科にはどうしておかかりに?」

仲村里依紗「親知らずの抜歯よ。化膿するかもしれないから薬を出しますって言われたわ」

妻夫本聡士「えぇ。処方されたのは、化膿止めで、処方された理由もおっしゃる通りです。歯の方は良くなっていますか?」

仲村里依紗「まだ、ちょっと化膿してるわよ。今日も違う抗生剤がでたわ。」

妻夫本聡士「そうですか。ひょっとしたら、抗生剤が効いていなかった可能性があります。」

仲村里依紗「なんでよ!何か間違えてたの?」

妻夫本聡士「いえ、薬は正しい量で処方されていました。あと、もう一つ教えてください。どうして痛み止めをもらったのですか?」

仲村里依紗「せ、生理痛よ!イブが効かなくて、1番強い薬を出してもらったのよ。あんた、デリカシーないわね。ってか、なんで薬剤師なのに、病院にかかった理由知らないのよ!」

妻夫本聡士「薬剤師は処方箋以外の情報はほとんどありません。だから、仲村さんから直接伺わないと、わからない事も多いのです。」

仲村里依紗「そうなの?で、結局何が言いたいのよ!」

妻夫本聡士「仲村さん、結論から申しますと、仲村さんが困っていることは、最初にお話が出来ていれば、すべて解決出来たのです。」

仲村里依紗「はぁ?薬剤師のあなたに何ができるのよ?」

妻夫本聡士「えぇ。私は薬剤師です。薬を処方できませんし、歯の処置もできません。それでも、医者が処方した薬を、正しく使ってもらう事はできます。」

妻夫本聡士「まず、歯科の件です。歯科で処方された薬は、仲村さんが現在お飲みの下剤と飲み合わせが悪いです。一緒に飲んでしまうと、効果が十分発揮されない可能性があります。そのため、下剤はセフゾンと時間をずらさなければいけません。時間をずらして飲んでいましたか?」

仲村里依紗「めんどくさいから一緒に飲んでたわ。」

妻夫本聡士「やはり、そうでしたか。それで、セフゾンの効果が不十分だったのかもしれません。ちなみに、今回処方されたジスロマックは一緒に飲んでも大丈夫ですので、ご安心ください。」

仲村里依紗「え?抗生剤でもいいの?」

妻夫本聡士「はい。抗生剤でもいろいろ種類がありますので、飲み合わせが悪くないものもあります。今回処方された薬はジスロマックSRです。このお薬はこの前のように、下剤と一緒に飲んでも大丈夫です。でも、そのかわり、食事の前後2時間はさけて下さい。 」

仲村里依紗「前後2時間さければ良いのね。わかったわ。その間、何も飲んだり食べたりしないわ!水も飲まない!」

妻夫本聡士「いえ、水は飲んで大丈夫ですよ。」

仲村里依紗「あっ、そう…。」

妻夫本聡士「それと、胃痛の件ですが、まず、ボルタレンの副作用予防に胃薬を使います。それが太田胃散では、弱かったかもしれません。もちろん、それだけが、原因ではありません。耳鼻科から処方されたプレドニンです。このお薬は普通に飲むと胃は荒らさないのですが、痛み止めと飲むと胃を荒らしやすくなると言われています。さらに、仲さんは普段から忙しくされていて、たくさんのストレスを抱えていませんか?ストレスも胃痛の原因です。これらの複数の理由が重なって、今回胃潰瘍になりかけたのだと思います。ちなみに、ボルタレンは毎日飲みましたか?」

仲村里依紗「生理中は毎日飲んだわ。」

妻夫本聡士「そうでしたか。大変お辛いんですね。」

仲村里依紗「男にはわかんないと思うけどね。」

妻夫本聡士「仲村さん、婦人科にはかかりましたか?」

仲村里依紗「婦人科?かかった事ないわね。病院の受付でお腹痛いって言ったら消化器内科に案内されたのよ。」

妻夫本聡士「そうでしたか。生理痛でしたら、本来は婦人科がベストです。生理痛にボルタレンは良くききます。ただの生理痛でしたら良いのですが、例えば、子宮内膜症かもしれませんし、他の病気の可能性もあります。お忙しいかとは思いますが、一度婦人科で診てもらうことを、お勧めします。」

仲村里依紗「知らなかったわ。今度診てもらうわ。」

妻夫本聡士「えぇ、そうされた方が楽になると思います。」

仲村里依紗「わかった。私がちゃんとあなたの話を聞かなかったのが原因だったわけね。これからあなたの話は全部聞くし、言う通りにするわ。」

一ヶ月後
仲村里依紗「今日もお薬よろしく!妻夫本さん指名で!」

事務 「はい、かしこまりました。妻夫本さんお願いしま~す。」

妻夫本聡士「あっ、仲さん。今お薬用意しますので、お待ちください。今日はお急ぎではないですか?」

仲村里依紗「病院と薬局に来るときは、急ぐのはやめたの。今日は休みだから、いくらでも待つわ。」

妻夫本聡士「そうでしたか。今、お薬用意しますのでもう少々お待ちください。

〜15分後〜
妻夫本聡士「仲さん、お待たせいたしました。今日は消化器内科と婦人科ですね。歯科は今回かかられなかったのですか?」

仲村里依紗「歯医者の薬はないわ。この前のジスロマックがすごく効いたみたい。もう大丈夫だって。」

妻夫本聡士「そうですか。よかったです!」

仲村里依紗「あなたのおかげね。ちゃんと説明されなかったら、正しくのんでなかったと思うわ。他の薬の事も教えて。」

妻夫本聡士「消化器内科の薬は、前回と同じですね。タケプロンとサイトテックが一カ月分です。胃痛など、症状はありませんか?また、この前もお話したのですが、こちらのサイトテックは、市販で飲んでるマグネシウムと一緒に服用するとお腹がゆるくなる事があるんですけど、そういう事はありませんか?」

仲村里依紗「自覚症状はないわ。マグネシウムは調整しているから平気。毎日快便よ。今日も内視鏡やってもらったけど、もう良くなってるから、これを飲みきったら終わりだって。」

妻夫本聡士「もし、便秘がひどいようでしたら、マグネシウム製剤よりも効果が高い薬もあるので、その時はまたご相談ください。胃はひどくならなくて良かったですね。」

仲村里依紗「そうね。でも、自業自得。」

妻夫本聡士「それと、婦人科ですね。今回処方された薬は芍薬甘草湯とブスコパン、カロナールですね。」

仲村里依紗「私、内膜症じゃないみたい。月経困難症だって。変な病気じゃなくてよかった。カロナール毎日飲むように、ブスコパンと漢方は痛い時に頓服で飲んで、どっちが効くか試してみろって。漢方って効くのかしらね。」

妻夫本聡士「芍薬甘草湯効きますよ。実際効果が出る事も証明されていますので、安心して服用してください。それと、ボルタレンはまだ残っていますか?」

仲村里依紗「まだ7日分のこっているわ。でも、もう飲まないわよ。」

妻夫本聡士「えぇ、そうしてください。せっかく胃がよくなっているところですので。」

仲村里依紗「今回出た、カロナールも胃が痛くなるのかしら?」

妻夫本聡士「カロナールは前の薬のように胃を荒らしませんのでご安心ください。」

仲村里依紗「それなら、良かった。安心ね。他には何か気をつける事ある?」

妻夫本 「今回処方されたブスコパンは眠くなる事があるので、服用したら車の運転はしないでください。それと、お仕事忙しいかと思いますが、無理はしすぎないようにしてくださいね。」

仲村里依紗「ありがとう。私、薬の事も、薬剤師の事何も知らなかった。飲み合わせが悪い薬や、副作用の事、それと、今使ってる薬の事とか、それより、良い薬もあるってこと。妻夫本さん、これからもよろしくお願いします。」

妻夫本聡士「こちらこそよろしくお願いします。」

仲村里依紗「あの、これ。先日はご迷惑をかけてしまったので、これみなさんで食べて。地元の銘菓ミートサブレ。」

妻夫本聡士「ありがとうございます。スタッフでいただきます。あっ、ご実家は足利なんですか?実は私も足利なんですよ!」

仲村里依紗「え?本当に!?学校はどちらですか?」

妻夫本聡士「中学は二中で、高校は足高です。仲さんは?」

仲村里依紗「私、北中で、高校は佐野日大で、・・・」
その後、思いがけない同郷話で二人は盛り上がった。
仲村里依紗「じゃあ、また来るね。」

妻夫本聡士「お待ちしております。」

事務 「妻夫本さん、あの人最初に来た時とは別人みたいでしたよ。どうしちゃったんですかね・・・。」

妻夫本聡士「もともとああいう人なのかもしれないよ。前回は体調不良とストレスが溜まっていたから、あんな態度だったのかもね。」

事務 「なんか信じられな~い。」

妻夫本聡士「最初の印象だけで人を決めつけちゃうとお互い損するのかもね。あっ、そうだ。さっきもらったミートサブレみんなで頂こう。」

事務 「これ有名なお菓子なんですか?」

妻夫本聡士「地元じゃちょっと有名でさ、書家の相田みつをって知ってる?その人の「逢」って文字が型どられているサブレで、「Meet」つまり「良き出逢い」という意味なんだ。」

事務 「へぇ~。仲さん、良い薬剤師さんに出会えて良かったって事ですかね?」

妻夫本聡士「そうだったらいいね。」

 

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